健康は、遺伝子や生活習慣など個人レベルの要因だけでなく、社会的、経済的、環境的な条件に影響を受けることが広く認められるようになっており(健康の社会的決定要因)、個人の努力だけでは保つことができません。私たちは、社会環境の中で健康を支える要因を増やし、健康を阻害する要因を減少させていくことによって、人々が健康に暮らせる社会環境の構築を目指しています。生活習慣、栄養素(特にセレン、亜鉛)の摂取、社会システムや社会制度などに関する予防医学的研究をはじめ、地域や職域におけるうつ関連要因の調査、日本や途上国における地域保健活動、途上国における女性の健康・健康格差など、多様なテーマと分野で研究を行っています
私は、もともと主に実験を行う基礎研究に携わっていましたが、出産・育児というライフイベントを機に疫学的調査研究へと研究スタイルやテーマが変化してきました。そのお陰で、様々な研究テーマや研究手法を経験することができました。その経験を活かし、あらゆる世代の人々が健康に暮らせるような社会環境を作るためのエビデンスの提供を目指したいと考えています。
現在の主な研究テーマ:
◆セレンの健康効果に関する研究
培養細胞、動物、ヒト検体を用いて、抗酸化物質として知られる微量栄養素セレンの健康効果、特にがんやメタボリックシンドロームなど生活習慣病に対する予防効果、放射線治療における有用性を検討しています。
◆地域における生活習慣や社会環境要因と生活習慣病の関係
地域住民を対象とした調査データを解析し、健康診断データや生活習慣(食事、睡眠、喫煙、飲酒、身体活動など)と生活習慣病(特に糖尿病)に関する疫学的研究を行っています。疾病のリスク要因を明らかにし、予防や介入につながるエビデンスを示したいと考えています。
◆インドネシアにおける地域保健活動
母子保健活動に対する母親・地域住民の意識調査、子どもの発育不足(低身長)や妊産婦死亡のリスク要因分析などをインドネシアの共同研究者と行っています。
すべての人が健康に暮らせる社会環境づくりのためには、医療、福祉、行政をはじめ、様々な関係組織・機関が協働して取り組む必要があります。我々は、人々の健康を支える要因、健康を阻害する要因について研究結果を提供するだけでなく、様々な分野や組織と協働して、組織的な疾病予防対策や健康の保持増進に有効な対策へとつなげたいと考えています。
科学研究費助成事業(若手研究B) (H28-30年度)
科学研究費助成事業(研究活動スタート支援)(H24-26年度)
本ネットワークにより、地域全体の研究力強化につながることを期待します。
主な講義のテーマ | 公衆衛生学、医学統計 |
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担当講義名 |
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講義の概要 | 授業の目的:健康は、個人の努力だけでは保ち得ない。個々人の「健康を保つ」あるいは「生命を衛る」ために個人衛生だけでなく、公衆衛生が必要である。さまざまな保健活動、医療制度や医育システムも公衆衛生である。公衆衛生学的な考え方を身につけ、人々の健康を保つための保健・医療の社会性について考える機会としたい。到達目標は、公衆衛生マインドを持った医師の育成である。 概要:公衆衛生の意義を深く認識・理解するために、講義及び公衆衛生関連施設で見学実習を行う。公衆衛生学の定義、疾病予防対策や地域保健などの公衆衛生の実際の応用例について講義し、見学実習では実際の取り組みを見学し、課題について発表してもらう。 |
社会貢献できる関連分野名 | 医療・福祉、国際保健、疾病予防、疫学研究、微量栄養素 |
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参画している審議会・委員会名 |
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