地下構造を探査する手法としては、重力探査、電磁探査、地中レーダー探査などがあり測地学や火山学の分野で利用されているが、地面振動や電磁気的ノイズの影響を受けやすいため、市街地や火山地域、沿岸域での高精度観測が困難であった。本研究では、この点を解決する手法として干渉計型重力勾配計の開発を行っている。この装置では、真空槽内で二つの物体(落下体)を同時に投げ上げ、その落下加速度の差をマイケルソン干渉計で計測することにより重力勾配値を求める。2014年に試作機を用いた桜島火山適用試験を行い、その経験をもとに現在はより可搬性が高い小型重力勾配計の開発を行っている。
干渉計型重力勾配計の基本的なアイデアは1970年代から米国で特許出願がなされ、実用化に向けた議論が行われてきたが、高精度反復測定が困難で現在まで実用化されていない。本研究では、高精度反復測定を実現する投げ上げ法を開発した。この投げ上げ法では、落下体を鉛直上方に7.5Hzの高速で投げ上げることができる。投げ上げに伴う回転加速度ノイズは0.01μGal以下である。従来の落下体吊持法では必要であった復帰機構が不要であるため、大幅な小型化と高速化が可能となった。その結果、可搬性が高く、0.01μGal/m以下の高精度高速反復測定を実現する重力勾配計の製作が可能となった。
重力勾配計は地下の物質分布の変動に起因する重力の相違をを検知する装置である。振動や電磁ノイズの影響を受けやすい従来の地下探査法と異なり、測定値が重力以外の影響を原理的に受けないため、山体斜面や市街地、沿岸域や火山地域、船や運搬体上においても、装置本来の感度を活かした観測が可能である。従来の手法では高精度観測が困難であった山体斜面や都市部、火山地域で適用することで、土砂災害や地盤沈降・道路陥没などの災害予測精度の向上につながる可能性がある。
性別、人種、国籍、貧富の差、年齢など関係なく、全ての人が自由に学び活躍できる社会の実現を期待します。
主な講義のテーマ | 重力物理学実験 |
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担当講義名 |
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講義の概要 | キログラム原器の維持管理のため国際度量衡局で開発された重心測定法は、入手しやすい市販の電子天秤を用いて、1㎏の物体の重心を数μmの精度で測定できる。本講義では、その測定原理を理解し、実際に測定を行い結果を解析することで、精密測定の基礎的な考え方を体得する。 |
社会貢献できる関連分野名 | 物理学実験、留学相談 |
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直近の講演会のタイトル | 「ガリレオ型自由落下実験と地下探査」 |