
病原体に感染した宿主では、生体防御として炎症応答が誘導されます。mRNAの分解や翻訳を調節する「転写後制御」は、この応答を制御する仕組みの一つです。mRNA顆粒は、こうした転写後制御に関わるmRNAとタンパク質の集合体です。これまでに、病原性原虫 Trypanosoma cruzi(T. cruzi)の感染により、宿主細胞でmRNA顆粒の一つであるprocessing body(PB)の形成が促進されることを見いだしました。しかし、感染時のPB形成の生物学的意義は十分に解明されていません。本研究の目的は、感染時にPBに集積するmRNAを同定し、その安定性や翻訳の変化を解析することで、宿主の炎症応答におけるPBの役割を明らかにすることです。
本研究の特徴は、ストレス応答を中心に研究されてきたPBを、感染に対する宿主応答の観点から解析する点です。T. cruziは宿主翻訳系に依存せずに増殖し、宿主免疫応答を調節しながら慢性感染を成立させることから、mRNA顆粒を介した宿主の感染応答を解析するうえで有用なモデルです。これまでに、感染早期のIL-1β産生がPB形成依存的に抑制されることを明らかにしました。また、PB構成タンパク質に結合するmRNAの網羅的解析から、感染時に結合が変化する宿主mRNA群を同定し、PBへの集積が変化する標的候補として解析を進めています。さらに、これまでの解析から、PB形成が標的mRNAの安定性や翻訳に及ぼす影響は、標的ごとに異なる可能性が見えてきました。一般的なストレス条件との比較と、個々の標的mRNAの局在・安定性・翻訳の解析を組み合わせ、感染時にPBへ集積するmRNAの特徴と、集積の生物学的意義を明らかにします。PBの「中身」と「働き」を結び付けることで、mRNA顆粒を介した感染・炎症応答の調節機構の解明を目指します。
感染症、RNA生物学、細胞イメージングなど、幅広い分野の研究者との共同研究を歓迎します。PB標的候補mRNAの網羅的解析で得られた知見や、PB形成因子を欠損させた細胞などの実験系を基盤に、mRNAの配列・構造解析や細胞内局在の可視化に関する連携を通じて、PBへの選択的なmRNA集積の仕組みと炎症応答との関係を詳細に明らかにしたいと考えています。さらに、T. cruzi感染で得られた知見を他の感染・炎症モデルと比較し、mRNA顆粒の視点から、多様な感染症における宿主応答機構の理解を共に深めることを目指します。
感染応答時の宿主遺伝子トリアージにおけるP-bodyの役割(基盤研究C)
研究期間: 2022年4月 – 2025年3月
地域の研究者との交流を通じて、分野や所属機関を越えた新たな共同研究が芽吹くことを期待しています。
| 主な講義のテーマ | 感染微生物学、生物学 |
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| 担当講義名 |
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| 講義の概要 | 教養教育から医学部医学科・大学院医学研究科の講義・実習まで幅広く担当し、感染症・免疫に関する専門知識や、基礎医学研究に必要な実験技術の修得を支援しています。 |
| 社会貢献できる関連分野名 | 微生物・感染症に関する教育 |
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