日本は世界有数の長寿国になったが、その一方では生活習慣病が増加の一途をたどっており、健康寿命の延伸のためには生活習慣病予防のための食生活習慣が重要である。さらに、生活習慣病の進行や、合併症の進展防止にも生活習慣の修正および栄養食事療法は欠かすことができず、複数の疾患を持つ患者はさらなる栄養管理や食事療法が加わる。患者自身の生活背景や身体状況を考慮しテーラーメードの食事療法を管理栄養士が継続的に実施することで、患者のQOLを向上できることが期待される。そういった患者の制限や禁止すべき負担やストレスを軽減し、摂取することで体に良好な効果が得られる簡便で継続可能な栄養療法を研究している。また、栄養状態を良好に保ちフレイルを予防し摂食嚥下機能を正しくアセスメントしレベルに見合った食事を安全に提供するための食形態を研究している。
透析患者は、塩分、カリウム、リン、水分と食事の制限が多く、多剤服用による便秘などの副作用、透析による体調の変化やADL低下などから、適切な食事療法を継続することが困難でありしばしば低栄養に陥ることが多い。また、糖尿病のコントロールが不良な症例やフレイルやサルコペニアなどの筋力低下がある高齢者は制限ばかりではなく、摂取することで身体に好影響を及ぼす栄養食事療法を長期継続する必要があると考える。そのための効果的でありかつ簡便で継続可能な栄養食事療法の研究をしている。さらに、嚥下障害についても機能に見合った食形態を開発する研究も取り組んでいる。
すでに効果的な食品は臨床の場で実際指導をした結果からいくつか検証してきた。制限する、のではなく、しっかり決められた量を摂取する、ためにはどのような摂食嚥下機能であっても必要量が摂取されなければならない。口から食べるには、見た目もよい安全な食形態で食事を必要量提供し、患者の栄養状態を維持向上することを研究していきます。
他大学の研究者と連携をとることで、多様な人材がより活躍できるのではないかと期待しています。
主な講義のテーマ | 臨床栄養学 |
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担当講義名 |
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講義の概要 | 臨床栄養の専門職として活躍するために、栄養管理を必要とする各領域別疾患の発症機序および病態生理、有効な栄養療法の意義とその内容について講義し、臨床栄養学的なアプローチを実践するために必要な栄養評価・判定、総合的な栄養ケアマネジメントの実習を行っている。 |
社会貢献できる関連分野名 | 医療、システマティックレビュー、摂食嚥下障害、栄養ケアマネジメント、臨床栄養学臨地実習 |
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直近の講演会のタイトル | 「ロコモティブシンドローム予防のため食生活のポイント ~食事と運動で健康な足腰を~」 |