高負担高福祉といわれる普遍主義的福祉国家では、市民間の経済的格差が小さい傾向にあります。しかし、他の先進諸国と同様、スウェーデンでも所得格差の拡大と相対的貧困率の高まりが観察され、とりわけ2000年代後半に顕著です。加えて興味深いのは、スウェーデンの格差や貧困の動向が、同じ社会民主主義型の福祉レジームに分類される他の北欧諸国とも異なっている点です。そこで、スウェーデンにおける経済的格差と貧困の動向を分析し、その背景を政治学的に説明する研究をしています。
この研究は次の2つの関心によるものです。1つは、中間層と福祉国家の観点からです。格差の拡大と貧困リスクの高まりは、政治的多数派である中間層からの支持調達を困難にする可能性があります。2つめは福祉レジーム論の観点から。スウェーデンなど北欧諸国に代表される社会民主主義レジームは、労働組合や社会民主主義政党が強い、公的福祉中心、普遍主義的、所得格差や相対的貧困率低といった特徴をもつとされてきました。これらの制度的条件は既に変化しています。であるならば、変化を踏まえたレジーム論の再検討が必要で、格差拡大と貧困率上昇の背景を研究することは、このレジーム論の再検討に資すると考えられます。
他の福祉レジームに分類される国との比較研究のほか、スウェーデンにおける格差と貧困の変化を多様な視点から分析・説明することができればと考えています。
ここ数年ワーク・ライフ・バランスの難しさを痛感。目の前のことで精一杯で思考や活動の範囲がどんどん狭まりました。多様性、そして繋がることは何かを生み出す力の源。このネットワークはそんな元気が出る場に!
主な講義のテーマ | 社会政策、社会保障 |
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担当講義名 |
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講義の概要 | 例えば「社会政策論」の講義では、日本の未来社会像を「あらゆる人々がその能力やライフスタイルに応じて働くことができ、生活の安全安心が保障される社会」とし、これを実現させる社会政策のあり方を考える。講義では、テーマごとに理論と現実の社会問題とを組み合わせて学習する。 |
社会貢献できる関連分野名 | 社会保障、保育行政、働き方改革、男女共同参画 |
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参画している審議会・委員会名 |
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直近の講演会のタイトル | 働き、休み、楽しむ -高負担社会スウェーデンを事例として- |