女性研究者シーズ集

群馬大学 グローバルイニシアチブセンター
飯島 睦美[ Iijima Mutsumi ]
研究分野
英語教育
主な研究テーマ
読み書きの困難など学習障がい、発達障がいのある学習者への英語教育
キーワード
  • 学習障がい Learning Disabilities
  • 発達障がい Developmental Disorders
  • 読み書き障がい Dyslexia

連絡先
群馬大学 グローバルイニシアチブセンター 飯島 睦美 教授
TEL : 027-220-7317 MAIL : iijimagunma-u.ac.jp

・英語学習に難しさのある学習者への具体的指導方法
  How to Teach English to Learners with Difficulties
・小学校におけるローマ字指導について
  Teaching Romaji at Primary Schools in Japan

文部科学省の実施した調査によれば、およそ6%の学習者が何らかの発達障がい・学習障がい等を抱えている、と報告されている。しかし、実際の教育現場では、6%をはるかに超えた割合でこういった学習者が在籍している、という。こういった状況の中、現在小学校においても、英語活動が本格的に開始されている。日本語では顕在化しにくいディクレシア(読字障がい)なども、中学校で英語の学習が始まって明らかになる場合も多くあり、現在の小学校での英語活動は、中学校に入学して初めて学習困難に気づくよりずっと前に把握し、対処することができる貴重な機会ともなる。さらには、学年齢が上がるにつれて様々な学習困難へとつながる可能性を予見し、早めに対処することも可能となり、通常学校や通常学級でのこういった取り組みは、学習がわからないことが自尊心喪失につながったり、うつや不登校につながることを防ぐことにもつながる。

英語学習における躓きの原因とその指導方法への提言

通常学級で英語学習に顕著な困難さを抱える複数の学習者に対して、筆者が行ったWAIS-Ⅲ(心理アセスメント:Wechsler Adult Intelligence Scale Ⅲ)を分析し、先行研究における「言語学習適性能力」「認知嗜好」「学習方略」「学習過程」の観点から検討したうえで、そのような学習困難を克服する具体的な指導方法、学習方法を考案して、提案することを目的として研究をしている。WAIS-Ⅲの結果を分析すると、共通して「処理速度、符号・記号、数唱」の能力が顕著に弱いということが観察できた。これが言語学習にどのように影響しているのかについては、次のようなことが仮定される。 
 ・「符号・記号」の得点が低い ⇒ 運動協応、視点移動との関係、抽象性に弱い、書く速度と 
  正確さに影響が出やすい、言語能力、曖昧性への忍耐力の弱さ、 行間を読むことの難しさ、 
     トップダウンの情報処理能力の弱さ
  ・「処理速度、数唱」の得点が低い ⇒ 作動記憶の弱さ、情報保持力の弱さ、読解力の乏しさ
  こういった分析結果を「言語学習適性-音韻符号化能力、文法感覚、帰納的言語学習能力、
暗記学習」の観点から考察し、さらに「学習方略のタイプ-リハーサル、精緻化、体制化、理解監視、情緒」や「学習過程-注意、知覚、獲得、保持、転移」とすり合わせた上で、英語学習の改善につながる具体的な指導法、および学習法を提案することを目的とし研究している。

英語学習に難しさのある学習者支援

学習者がもつ難しさの背景には様々な問題がある。決して、単一の問題でなく、複線で絡まっていることがほとんどである。そういった点を、心理系、医学系の分野からの観点も含めて精査し、さらには、子どもたちの学びやすさを支援できる教材や教具の開発に発展することが期待される。小学校での英語教育が始まるが、日本語では表出しにくい、読み書き障がいなど、早い段階で手立てをすることで、アルファベットの導入となる英語学習でのつまずきを少しでも回避できるように、こういった指導方法や教材、教具の開発を企業との連携によって推進したい。

外部資金獲得状況

・2020年度~2022年度 科学研究費助成事業基盤研究(c)
  英語教育の“インクルージョン,ユニバーサルデザイン,個別化指導”の議論と提案
・2017年度~2019年度 科学研究費助成事業基盤研究(c)
  英語学習に難しさをもつ学習者支援―音韻符号化能力養成の観点から
・2013年度~2017年度 科学研究費助成事業基盤研究(b)
  英語教育における特別な支援の在り方ー小中高大の連携を通してー
・2013年度~2015年度 科学研究費助成事業基盤研究(c)
  心理アセスメントの結果からみる英語学習のつまずきとその改善策
・2005年度~2007年度 科学研究費助成事業基盤研究(c)
  英語言語運用能力育成場面におけるメタファーの効果的利用
・2006年度~2007年度 平成21年度特別教育研究経費(高等専門学校改革推進経費)
  新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム『OJTによる学生の自主性を育む支援』
・2006年度 大学改革推進等補助金(大学改革推進事業)支援
  『国際交流協定を活用した国際通用力育成のための技術英語教育』
・2000年度~2001年度 大学教育の国際化推進プログラム(海外先進教育実践支援)
  『グローバルエンジニア養成のためのFD推進―技術英語指導とエンジニアリングデザイン能力指導の融合と指導力向上-』

ぐんまダイバーシティ地域推進ネットワークへの期待

現在の社会のキーワードは「ダイバシティ(多様性)そしてサスティナビリティ(持続性)」です。
多様な分野が互いに相互の機知を持ち寄り、この社会を後世へつなげていく努力をしなけれ
ばなりません。まずは、地域でつながり、広く社会へと、世界へと発信できるネットワークの構築を期待してやみません。

教育に関する情報

主な講義のテーマ 教養英語
担当講義名
  • 英語A
  • 英語B
講義の概要 リーディングスキルおよびリスニングスキル

社会貢献に関する情報

社会貢献できる関連分野名 教育
参画している審議会・委員会名
  • 平成30年度発達障害に関する教職員等の理解啓発・専門性向上事業
直近の講演会のタイトル ・2021年度全国英語教育学会第46回長野大会WS講師
「Differentiation 学習の個別化 一人一人を生かす指導にむけて」
・2021年度東京都小学校外国語教育研究会講演講師
「知ることで気付き、 気付くことで救える学び - 外国語を学び始めるとき -」

特記事項

中学校英語教員免許
高等学校英語教員免許
S.E.N.S SV.(特別支援教育士スーパーバイザー)資格
文部科学省認定日本語教師免許

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