近年私たちは、脂肪細胞分化のマスター制御因子であるPPARγの新たな転写共役因子としてHELZ2を見出し、さらにチロシンリン酸化HELZ2に結合する新規分子としてpre-mRNAスプライシング因子であるsplicing factor proline/glutamine-rich (SFPQ/PSF)を同定した。本研究では、脂肪細胞分化におけるSFPQ/PSFに焦点をあて、Helz2との構造的作用部位の決定から、RNAスプライシングやその他の転写因子として機能などの詳細を検討し、PPARγ-Helz2-SFPQ/PSF複合体による脂肪細胞分化誘導機構を明らかとする。
わが国において肥満の予防や治療法開発は内科学の喫緊の課題の1つである。肥満の病態解明には、脂肪細胞分化の制御機構の解明が必須である。私たちはHelz2ノックアウトマウスは高脂肪食誘導性肥満に抵抗性を示し、低中性脂肪血症を来すことなどを発見し報告した。PPARγ-Helz2複合体は私たちのグループが発見したものであり、さらに Helz2とTHRAP3そしてSFPQ/PSFに結合しPPARγ-Helz2-SFPQ/PSF複合体を構成し機能する事はまったく新たな事実である。本研究では、脂肪細胞分化におけるSFPQ/PSFに焦点をあて、Helz2との構 造的作用部位の決定から、RNAスプライシングやその他の転写因子として機能などの詳細を検討し、PPARγ-Helz2-SFPQ/PSF複合体による脂肪細胞分化誘導の詳細な機構を明らかとすることを目的とする。
肥満は、糖尿病ばかりでなく高血圧症、脂質異常症などの多くの生活習慣病、そしてメタボリック症候群、さらに多腫の癌の強い危険因子であり、本邦ではBMI>25の国民が特に若 い男性を中心に増加し、肥満の予防法や治療薬の開発は内科学の喫緊の課題である。 肥満は強い遺伝的背景が予想されたが、最近のGWASなどの全ゲノム解析でもPOMC遺伝 子やMC4R遺伝子の変異による特殊な肥満の原因は明らかとなったが、多くの肥満症例の原 因は遺伝子多型ではその詳細は解明できていな い。今日まで、さらにDNAやヒストンのエピ ゲノム解析やmicroRNA、そして腸内細菌叢、 さらにエクソソーム解析まで行われてきたが、 肥満の原因の詳細は不明なままである。 本研究で新たに発見される経路の分子を標的と した新規肥満症治療薬の開発の端緒となることが期待される。
多くの女性研究者が群馬県内で積極的に活動され、成果を発表されていることを知ることができ、自分の研究活動を振り返り、さらに発展させるために考える、またとない機会となっています。今後とも多くの情報発信をしてくださることを期待しています。
社会貢献できる関連分野名 | 医学 |
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