生殖補助医療で子どもが誕生した男性の経験
この研究では、生殖補助医療で妊娠した妻が出産するまでにパートナーの男性はどのような経験をするのか、(妻は同席せず)インタビューをおこないました。不妊治療による心身の負担が大きい女性を対象とする研究は多くありますが、夫に焦点を当てた研究はほとんどなく、この研究により男性の立場で経験していることが浮き彫りになりました。
近年、生殖補助医療(以下、ART)を受ける女性は年々増加し、治療する女性の年齢は40歳がピークとなっています。しかし、40歳代になると妊娠出産できる確率は極めて低く、治療は難治性となります。
さまざまな理由から、自分の卵子で妊娠できない女性がいますが、近年は加齢により自分の卵子で妊娠できない女性が増加しています。そのような女性の中には、渡航してドナー卵子による治療をおこない、国内で出産する女性が増えつつあります。私は科研費の助成を受け、女性とその夫はどのような経験をするのか、子どもへの告知をどうするのか?インタビューをおこない課題を明らかにしています。
2020年12月4日に、夫婦以外の卵子や精子を使った不妊治療で生まれた子の親子関係を明確にする民法の特例法が成立しました。第三者からの卵子提供で出産した女性を「母」、第三者からの精子提供を受け妻が出産することに同意した夫を「父」とするものです。
日本は家制度によって血縁を重んじる文化的背景があります。しかし、遺伝的つながりのある親子でも虐待の問題はおこっています。これからはLGBTQカップルなどを含め、ドナー卵子(精子)による家族が少しずつ増えていくと思います。私は家族の多様性について関心を寄せています。
<文部科学省 科学研究費助成事業>
・2012-2016年 基盤研究(C) 研究代表者:高度生殖医療後の妊娠-胎児の成長をめぐる夫婦関係を基盤とした妊娠期ケアの開発-
・2018-2021年 基盤研究(C) 研究代表者:日本型テリングの基盤となる卵子提供で家族形成した夫婦の実像
・2019-2022年 基盤研究(C) 研究分担者:高年齢不妊カップルのための初診から治療終結に至る意思決定支援ガイドの作成
・2022-2024年 基盤研究(C) 研究代表者:卵子提供を希望するカップルのための情報プラットフォームの開発と評価
・2022-2025年 基盤研究(C) 研究分担者:高年齢不妊カップルのための不妊治療に関する意思決定支援ガイドの実装研究
自身の専門分野の垣根を越えて異分野の方々と交流すると、自身の分野での「当たり前」は「当たり前」ではないことに気づきます。専門分野の垣根を超えるとき、自身の価値観の転換を迫られることもありますが、それによって視野が拡大していくと思います。
本ネットワークでは、異分野の研究者と多様な視点から意見交換することにより、価値観の転換や視野の拡大、そして共同研究の創出へとつながることを期待しております。
主な講義のテーマ | 母性看護学、助産学、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ、男女共同参画、ダイバーシティ |
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担当講義名 |
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社会貢献できる関連分野名 | 妊活に関すること・男女共同参画・ダイバーシティ推進に関すること・女性活躍推進に関すること・プレコンセプションケアに関すること |
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参画している審議会・委員会名 |
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産業カウンセラー、不妊カウンセラー