本研究は教育学・教育心理学各学説史研究の一環として、心理・教育ジャーナリズムが提供した心理あるいは教育タームの移入と普及、その過程での変容を歴史的に検証することを目的としている。様々な心理あるいは教育タームを歴史的に検証することは、「今ここ」で起こっている事象をどのような方向に導こうとしたのかを根源的に解明しようとする試みである。また、心理・教育ジャーナリズムの資料を発掘し、所蔵整理する仕事は後世の研究者への贈与ともなる。本研究では多くの心理・教育ジャーナルを発掘し、心理あるいは教育タームがどのように移入され、普及し、そしてその過程でどのように変容したのかについて検証したい。
研究概要で述べたことが研究の特徴である。アピールポイントしては、①当たり前に使用されている心理・教育ターム(例えば、発達、学習、学び、不登校、子供、青年、地域あるいは郷土教育、子供理解、試験、専門性、教育相談、キャリア教育、障がいを負った子どもたち、教師、授業、カリキュラム、専門職、異文化理解・国際理解教育など)を対象とした心理・教育関係雑誌の発掘ができる、②それらの雑誌群が提供した心理・教育関係情報の検討ができる、③その作業が、「今ここ」で起こっている事象をどのような方向に導こうとしたのかを、根源的に解明しようとする試みができる点があげられる。教育改革が進む中で、以上のような点の解明が、今後の議論により根拠を持ち、事実に即した話し合いとなる、そのための素材を提供できるのではないかとも期待している。現在、「科研費基盤研究(B)」に研究分担者として参画させていただき、この種の研究を手がけている。
現代の心理・教育問題を心理・教育ジャーナリズムを素材として解明してゆく作業は、以下のような共同研究への発展性があるのではないかと考えている。①何を研究対象として設定するのかという大きな問題はあるが、その問題の形成過程研究となる。②日本の近代化は「移入」とともにはじまったと考えるならば、移入システムの成立、発展、整備過程をダイナミズムに描くことができる。③専門雑誌、案内書、手記などの資(史)料から日本の教育や文化を再検討することになる。そして、④メディアの言説を通じて現在の教育問題へのアプローチが可能になる。是非、多くの専門家を交えて「心理・教育ジャーナリズム研究機構」というようなものを作り、基礎研究の発展を共同研究および産学連携を目指し行いたい。
近代日本準専門職形成史の研究(科研費基盤B・研究分担者)
是非、多くの専門家を交えて心理・教育ジャーナリズム研究機構なようなものを作りたい。この点においても共同研究および産学連携を目指したい。
主な講義のテーマ | 人間を理解するとはどういうことか |
---|---|
担当講義名 |
|
講義の概要 | 「学習・発達論」では、生徒の心身の発達と学習の過程などについて、「教育相談の理論と方法」では、学校教育相談の意義と理論などについて、「心理学」では、発達や人格の理解などについて、「学びの技法」では、レポートの書き方などについて講義している。 |
社会貢献できる関連分野名 | 教育 |
---|