後期高齢者において要介護の認定を受ける人の割合が大きく上昇していることが問題視されている。介護が必要となる原因の第4位に「骨折・転倒」が挙げられるが、転倒は運動機能の低下だけでなく、運動イメ-ジの低下(身体認知の誤差)によっても生じるとの報告がある。
本研究では、身体認知に重要な役割をもち、かつ高齢者で機能低下する足底感覚に着目し、足底への感覚情報入力を含めた運動トレ-ニングの実施が身体認知の向上に繋がる可能性を探る。具体的には、地域在住高齢者に対して簡便に行える足底知覚トレ-ニングの効果を検証する。
加齢に伴って心的歩行時間が延長する傾向にあることや歩行運動イメ-ジ想起が困難な高齢者では転倒経験を有していることが報告されている。運動イメ-ジによっても、実際に運動を行った時に見られる大脳皮質の運動関連領域に活動が見られたり、皮質脊髄路の興奮性が高まったりする。運動イメ-ジ想起には、身体各部の環境と自己の空間的関係性を司る身体図式が関わっていると言われている。そのため、身体図式の更新に関わる感覚情報と身体認知との関連性や身体機能面との関係性を明らかにすることと、足底感覚に着目した点が特徴である。
障害予防や介護予防の観点から、リハビリテ-ションの占める役割は大きいと考える。しかし、医師や看護師、薬剤師、栄養士、歯科衛生士、介護福祉士、社会福祉士など多職種との関わりの中で互いの専門性を活かしつつ、情報共有することでより良い課題解決策が見い出せると思われる。
よって、学童期から取り組むメタボリック・シンドロ-ム予防対策やスポ-ツ障害予防、高齢者に対する認知症対策、転倒予防などの共同研究および産学連携を目指したいと考える。
女性にとっても働きやすく、魅力ある群馬の実現に向け、他大学の研究者の方々と繋がることのできる地域推進ネットワ-クの構築に期待します。
主な講義のテーマ | 身体機能、理学療法学教育 |
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担当講義名 |
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講義の概要 | 筋や骨、関節の特徴を踏まえながら、関節運動や身体運動について学ぶことで、理学療法士として治療の対象となる機能障害を把握するうえで必要な正常なヒトの体のしくみについて理解する。 地域リハビリテ-ションの思想を理解し、障害者や高齢者が社会の中で生活していくうえで地域が果たす役割が大きいこと、その中で理学療法士に何ができるのかを考えながら自ら実践する力をつける。 |
社会貢献できる関連分野名 | 健康寿命、転倒予防、障害予防、ロコモティブシンドロ-ム |
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直近の講演会のタイトル | 「こころもからだもアンチエイジング」 |