これまで継続して学校教育の分野で美術の教材開発の研究をしてきました。その後美術館、公民館から高齢者施設、身体障害者施設など社会教育の場へフィールドを拡げ、様々な人たちがアートに親しむためのきっかけを日々考え、実践しています。主にワークショップやアートプロジェクトの企画運営などを通して、現代社会において芸術・文化がどうあるべきか、アートの役割や機能、存在のあり方を模索しています。
本学に着任してからは、群馬県内の美術館と連携し、教育普及活動として子どもを対象としたワークショップを学生が企画し、実践するという仕組みづくりを行っています。それぞれの施設の特徴を捉え、学生にとって普及活動の開発から広報、実践といった一連の流れを体験することで、様々な学びにつながっています。
今日の学校教育ではアクティブラーニングといった主体的で自立的な学びが唱えられています。私の研究の大半は実践研究で、アートを通じて人々が繋がっていくまさにアクティブラーニングと呼べる取り組みをしています。例えば、「中高生のアートセッショ」という取り組みでは、動物園の場に中高生が制作した作品を取りまとめ、展示を行い、野外展示を行っています。そこでは参加した生徒たちを一堂に集め、グループ編成を行い、会場を回ったり、鑑賞活動を展開します。さらに動物園の職員から専門的なお話をいただいたりと、学校の中では体験できない現場での学びを深めていきます。ここでは他校と交流するのを躊躇していた生徒たちも、次第に緊張がほぐれ、作品から刺激を受けたり、高校生の作品をじっくりと鑑賞したりという姿を見ることができます。このように、アートを通じて子どもたちが主体的に学ぶことのできる場を作り、様々なコンテンツを提供していくことが学びの深化につながると考えています。
アートを媒介とすることで、様々な異分野との連携が期待できます。これまでも、教育・福祉・医療といった分野、または経済の活性化につながるような試みを行ってきました。例えば伊香保アートプロジェクトでは、温泉街の宿と連携し、様々なアート作品を展示したり、観光客向けの体験型アートを実施したりしました。また、中之条ビエンナーレでは学生目線で芸術祭を盛り上げる広報企画やSNSを通じた情報発信などを行い、学生が地域に関心を向け、アートを通じて様々な文化に触れることができるような取り組みを行いました。アートマネジメントは様々な分野を繋ぎ、人と人を結んでいく分野です。今後も社会の状況に応じて異なる分野との連携を深めていきたいと考えています。
・「アートプロジェクトを通じた人々の交流の創出と地域資源の情報発信」(個人)群馬県農村整備課やま・さと応縁隊(平成25・26年)
・「アートフェスタワークショップ」(団体)国立青少年教育振興機構 子ども夢基金助成(平成22年~現在)
・「中高生のアートセッション」(団体)国立青少年教育振興機構 子ども夢基金助成(平成25年~現在)
・「埼玉県こども動物園アートフェスタ」(団体)埼玉県オール埼玉で彩る文化プログラム公募事業助成(平成30年~令和2年)
県内の女性研究者が交流することで情報共有、共同研究の創出につながりやすいと思います。これからの取り組みに期待しております。
主な講義のテーマ | アートマネジメント、美術教育、博物館 |
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担当講義名 |
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講義の概要 | 受講者がアートマネジメントという専門分野を学ぶ上で必要な基礎知識や論理的思考力、実務家としての実践の基礎を身につける。また、教育法や博物館実習の授業においては、教員免許、学芸員資格取得を目指す受講者に、実践の現場での具体的な理論、方法論や実践展開について伝えていく。 |
社会貢献できる関連分野名 | 教育、美術、福祉 |
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参画している審議会・委員会名 |
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