恋人間の暴力、デートDVは、その後、離別が困難になることで配偶者間の暴力、DV /domestic violenceとして長期化する。交際相手、パートナー、配偶者など呼び名や既婚・未婚といったカテゴリーにかかわらず、時間と生活の多くをともにし、親しく近い関係にある二人の間において、IPV/ intimate partner violenceは、連続して起きていることが指摘されている。最新の内閣府の調査では、被害を受けたと答えた5人に1人の女性が、いのちの危険を感じたと答えている。デートDVは、親密な関係であるほど、暴力は重篤化し離別が困難になる。暴力の存在を当事者が理解するためには、第三者からの支援が求められる。
本研究のテーマである高校生の妊娠は、2010年より横ばいの現状が続いており、文部科学省の調査では「思いがけない妊娠」の結果、その3割が自主退学を選択している。「性交経験は二極化」し、低年齢化が進んでいるという指摘もある。調査によると初回の性交体験について「20人に1人」の女子高校生が「無理やりセックスさせられた」と回答しており、性の強要による性交や避妊に同意しないために起こる妊娠の問題について「性暴力」として、改めてとらえ直す必要がある。さらに、若年の妊娠出産は、退学、育児不適応、低学歴による貧困、虐待、配偶者間の暴力等、困難の負の連鎖を発生する端緒となりやすく、当事者や周囲の人々に大きな影響を及ぼす。本研究では、協力民間団体が「妊娠葛藤」に丁寧に寄りそう、主にメールのテキストを対象に「対話」を分析する。対象は、高校生(15歳から17歳)である。事例のテキスト分析を通して、背景に伺われる暴力の問題や人間関係を探り、早期解決に役立つデータを抽出する。
恋人間暴力、デートDVは、長年、民間団体が予防教育とその解決を牽引してきた。本研究においても民間団体の協力を得て進めている。しかし孤立する当事者と確実に繋がるICTツールを用いた相談の分析においては、数理情報等の解析技術が必須である。分野を超え、職種を超えて、研究者や支援者が連携し、効果的な解析方法について研究する。現場の相談の現状・相談員の経験的な「見たて」のスキルについて可視化するために、自然言語処理の手法を用いた解析を行う。相談員との距離感、相談者の自己選択などに影響する要因について、今後も解き明かしていく。
・群馬大学女性研究者共同研究促進助成A型2018年7月‐2018年3月
・ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ「まゆだまプラン‐アドバンスト」2017年8月-2023年3月
ぐんまの研究者とのつながりの広がりの中で、未来を担う女性たちへのしなやかなネットワークへと広がることを願っています。
主な講義のテーマ | 男女共同参画および女性に対する暴力 |
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担当講義名 |
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講義の概要 | 教養教育の学びのリテラシーやぐんま未来学を通じて、ジェンダーの平等について、多様な視点から自らを振り返り、社会への参画の仕方について、具体的なイメージを持って考えてもらうことをことを重視しています。 |
社会貢献できる関連分野名 | 男女共同参画・女性研究者支援・女性に対する暴力 |
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参画している審議会・委員会名 |
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直近の講演会のタイトル | 「私もあなたも幸せに生きる~ハラスメントのない社会へ~」 |
社会福祉士・保育士